◆ 事業所情報 ◆ 業務案内 ◆ 業務事例 ◆ リンク ◆ お問い合わせ
Location : TOP →  業務事例 → はやぶさ2搭載分離カメラの開発
業務事例一覧


はやぶさ2搭載分離カメラの開発
─ 宇宙航空研究開発機構(JAXA)殿

はやぶさ2は、2014年12月3日に打ち上げられた小惑星探査衛星です(図1)。
はやぶさ2探査機はその探査の中で、小惑星 1999 JU3 の表面に人工的にクレータを生成し、小惑星内部の物質を採取した後、再び地球に帰還する(=サンプルリターン)というミッションを行います。フォトコーディングでは、人工クレータが生成される様子を小惑星に近づきながらリアルタイムに撮影する"分離カメラ"(図4)の光学系の開発を行いました。


  図1:はやぶさ2打ち上げの様子(フォトコーディング撮影)
分離カメラには、一度きりのクレーター生成イベントを確実に捕えるために、以下に記載する複数の高精度な要求がありました。

 − 超広視野(74度×74度)であること
 − 明るい光学系(F/1.7)であること
 − 超軽量(30g以下)であること
 − 高解像度(MTF > 20% @150 line/mm)であること
 − 広波長域(400-750nm)をカバーすること
 − アサーマル(温度収差がない:ΔT=40℃)であること
 − ビネッティングがないこと
 − 真空中で機能すること
 − レンズが宇宙線の被ばくによる影響(ブラウニング)を受けないこと

レンズ系は、一般には多くのレンズを用いることで高い性能を得ることができますが、軽量化が求められる場合、使用できるレンズの枚数は限られます。また、一般の硝子は宇宙空間においてブラウニングの影響を受けて透過率が低下する性質を持つので、用いる硝材についても制限がありました。そのような強い制約の中、これまでに培われた多くのノウハウを応用することによって、すべての要求を満たす設計解を提案しました(図2)。


        図2:設計したレンズ系
その設計に基づきフォトコーディングで製造したレンズ系は、製造後の振動試験、冷却試験、宇宙を模擬した環境下での光学試験(図3)などすべてをクリアし、衛星に搭載され、宇宙へと飛び立っていきました。2018年には、実際に分離カメラがとらえた映像が地球に送られてくることでしょう。フォトコーディングでは、カメラ系の総合試験の監修も実施しました。

なお、本カメラの開発はJAXA殿、神戸大学理学部殿、高知大学理学部殿、千葉工科大学惑星探査研究センター殿、株式会社明星電気殿と共同で実施されました。


図3:光学試験の試験の様子。真空チャンバ―内に分離カメラが
取り付けらえている(於 明星電気株式会社クリーンルーム)。


図4:はやぶさ2に搭載された分離カメラ(JAXA殿提供)