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近赤外線高分散分光器WINEREDが拓くshort-NIR領域での恒星物理学

池田 優二 、小林 尚人、松永 典之、河北 秀世、近藤 荘平、福江 慧、鮫島 寛明、濱野 哲史、新井 彰、安井 千香子、WINERED開発チーム
2017年9月11日 日本天文学会2017年秋季年会 @北海道大学
■ アブストラクト
赤外線高分散分光は、可視光で暗い低温度星や星周媒質を纏った進化の過渡期の天体、銀河内縁部などの星間媒質に埋もれた恒星、さらには吸収線にゼーマン分裂が見られる磁場星など、多くの恒星に対して高感度の観測を可能にするため、恒星物理学にとって実り多き手段とされてきた。近年の観測技術の進展により応用が広がりつつある分野であるが、z, Y, J-band の近赤外波長域(=short NIR)については他波長域では得難い元素や分子種の情報が含まれる”sweet spot” であるにも関わらず、長らく可視光と赤外線に挟まれた未開拓領域のままであった。 こうした中、京都産業大学神山天文台赤外線高分散ラボ(Laboratory of Infrared High-resolution Spectroscopy, LiH)では、同波長域(λ = 0.9 − 1.35 μm)に特化した近赤外線高分散分光器”WINERED”の開発を進めてきた。本機は波長分解能が異なる 2 つのモード(Rmax = 28, 000:WIDE モード, 80, 000:HIRES モード)を擁しており、それぞれに対してこれまでにないスループット(> 50%, > 35%)を実現している。2017 年からは La Silla天文台(チリ)の NTT(口径 3.58m)に移設され、8 − 10m クラスの望遠鏡に搭載されている赤外線高分散分光器を凌ぐ高感度(mJ = 15.7 mag:WIDE モード, mJ = 14.5 mag:HIRES モード)での観測運用が始めている。 我々のグループでは、国内外の共同研究者と WINERED を用いた特徴ある観測的研究を進めているが、それは個々の天体(群)を対象としたテーマを対象とするだけでなく、それらを下支えする同波長域での Spectral atlasや line list の独自公開、またあらゆるタイプの恒星の基本物理量(有効温度 Teff、表面重力 log[g]、化学組成など)の決定手法の確立も含まれる。本講演では、こうした取り組みとここまでの主な研究成果について紹介する。